INTERVIEWY

DATA MIXOLOGY独自の切り口でゲストとの対談やメッセージ、ホットな話題などを紹介します。

マーケティング対談 「恋愛に例える顧客体験プロセス」(後編)ゲスト:株式会社クラス 代表取締役 久保裕丈様

マーケティング対談 「恋愛に例える顧客体験プロセス」(後編)ゲスト:株式会社クラス 代表取締役 久保裕丈様

2019.05.27Marketing

■Chapter_03 デジタル時代の本質的なマーケティングとは? デジマ業界課題

桐生_では続いての話ですが「デジタル時代の本質的なマーケティング」とはどういうものなんだろうと考えることが多いのですが、1つは業界の課題があると思っておりまして。デジタルマーケティングとは「デジタル時代」のマーケティングだと思っています。
もちろん、広告やツール活用とは違い、本質的には「企業のバリューチェーンをデータを使って連携(統合)することができる」というのが新しい、デジタル時代のマーケティングだと思っています。私たちがお付き合いさせていただいているメーカーやブランド企業でも、営業や開発部、カスタマーサポートといった部署がバラバラに情報を集めていらっしゃるので、会社やブランドとしてなかなか意思の統一ができていないんじゃないかと思います。

久保_そうですね、まさにそういったバリューチェーンの中で、そもそも集めないといけない情報もそうですし、それを元にしたアクションに一貫性を保てないのは問題だと思っています。凄くシンプルな話で言いますとたとえばマーケティングに携わる人やアクションを統制する人はカスタマージャーニーマップをちゃんと理解してますか?と。あと昔なら4P、最近だと4Cと言われたりしますが、
そういうベースとなるマーケティングの知識を元にしてカスタマージャーニーマップを作って、なおかつそれがきちんと社内の隅々、バリューチェーンまで行き渡っているか。それって凄く大事だと思います。

桐生_そうだと思います。例えばロッサー・リーブスが提唱する「USP(ユニーク・セリング・プロポジション)」では、同じことを言うとしても、色々な切り口の言葉やアプローチでどういうものがその人が気持ち良かったり共感できるか。たくさんのアプローチをしながら飽きさせないという意味だったり、響く言葉を見つけていくという。
これは、恋愛と似ているところがあるのではないかな?と思いますがいかがでしょうか?

久保_デジタル時代になってきてサービスでも恋愛でもそうですが、とれるコミュニケーションの幅って凄く広がってきているじゃないですか? そこで一本軸を通してないと何も伝わらなくなってしまうんですよね。まだ恋愛だったらコミュニケーションを発信する主体者が自分1人だけなのでまだいい。まあ、それでも難しいですけどね、電話だったりLINEだったりメッセージアプリもいっぱいあったりだとか。あとInstagramなんかで何となく自分を出してプル型で見てもらって共感してもらうだとか。恋愛でも難しいのに、企業だとより複雑性が増してくると。であるとやはりUSPみたいな自社が一番軸を通したいものは何なのか。これをバシっと決める必要があるんじゃないかなと思います。

桐生_そうですね。そこでもう1つ課題があると思っているのが、データに関すること。
相手のことを知る上で粒度も細かくたくさん集めてその中で相手を細かく知っていく。これができるのが1番良いんですけど、例えば広告やDMPといったデータを集める仕組みで、捉えていくデータの粒度がまだ粗いんじゃないかなと。この人は映画好きなんじゃないか、スポーツが好きでしょう?とか。でも、なかなか嫌いな人もいないんじゃないの?と思ったりするんですよね。

久保_おっしゃる通り、今まだデータがとれる粒度は本当にアウトプットに使えるか?と。僕もそこは課題に思っていまして、どのチームがどのデータ群を必要で、十分なデータをそれぞれに与えられているかというと正直自信はなくて。そこは今のデジタルマーケティングの課題かなと思うんですよね。

 

■Chapter_04 データ分析の顧客体験設計への生かし方

桐生_続いては、先ほどお話しした業界の課題について、どうやって解決していくか。という話をしたいと思います。弊社「DATA MIXOLOGY」では既存の顧客と新規の顧客を分けて、商品も広告もコンテンツ内容もイベントなど体験の設計なんかもやっていくことがありますが、なかなか見れないデータ、粒度の粗いデータなんかも今までは多かったのですが、段々と購買データも採れ始めることができてまして。新規の顧客を取っていきたいというメーカーさんが
多いんですよね。そんな中でどういう人がポテンシャルかを見つけて、そこも効率を高めていくのではなく、非効率の中のポテンシャル…新しいマーケットを作っていくという考え方で、たとえばアプローチの内容を、ABテストみたいにAがいいか、Bがいいかと比較するのではなくて、どちらかといえばA to Zみたいな形で、十人十色に合わせたような皆さんがどういうものに対して共感が強いのかというものをたくさんテストしていこうと考えています。久保さんの会社「クラス」でもデジタル広告を出稿されたりとかデータ分析もされていると思いますが、チーム内のフォーメーションだったり、データ分析の取り組み・改善のフローなどありましたらお聞きしたいです。

久保_先ほどもお話しに出ていたんですが「映画好き」、「スポーツ好き」など、大体みんな好きだよね。だったり、もう1つその切り方での問題点が本当に自分のサービスのアウトプットを考える時に適切な切り口なのかどうかというのが1番かなと思っておりまして、やっているサービスは千差万別ですが数あるデータの切り口を
正しく捉えるのが大切だと思っています。我々「クラス」は家具のサブスクリプションで、家具を自分のタイミングで自由に入れ替えましょうというのが本質のサービスなんですが、その場合必要な切り口はライフステージだと思うんです。例えば、社会人になって1回目の1人暮らしをしているのか、ちょっと給料があがって少し良い家に引っ越したいのか、もしくはもう少し余裕が出てきて女性にモテたい部屋を作りたいのか、などステージによって違うはないですか?

面白い話でサービスが始まる前のことですが、結婚していた女性が早く「クラス」のサービスを使いたい、と。なぜかって、離婚すると。なので「クラス」のサービスがあればすぐに別居して使いたいのに、と。これだけライフステージによって必要なニーズは違ってくるんだろうなあと思っています。なので、我々としてはどういった軸でお客様の情報をちゃんと整理していくか、というところ。
これを様々な軸で切って何が1番購買につながるデータの切り口なのかを調べていくと。ライフステージだったりだとか、好きな家具のテイストだったりだとか色味もそうですし、もしかすると世帯年収や広さ、住んでいる場所なのかもしれないですし、そういった様々な切り口を29個、30個と掛け算していき、何が最も意味のある切り口なのかを探りあてる。これが今我々がやっているプロジェクトですね。

 

■Chapter_05 恋愛とマーケティング

桐生_色々話してきましたけれども、まあマーケティングも難しいですし恋愛も難しいじゃないですか(笑)。

久保_恋愛に関しては、どこら辺に難しさを感じているのでしょうか?

桐生_どうやったらこの人が運命の人なんだって、バチェラーじゃないですけど分からないじゃないですか?最初から。これが難しいところなんですよ。

久保_僕も色々な恋愛相談を受けていてやっぱりマーケティングと似ているなあと思っているんです。マーケティングの考え方使えば、実は恋愛も解決できるみたいな。それこそ、最初のターケティングのところに問題がある人もいて、「そもそもそこはあなたが狙いに行くところじゃないよ!」っていう。そこはあまり確率が高くないかもしれないよって。そのターケティングのところだったり、情報収集。顧客を知る、ニーズをちゃんと捉える、みたいなところだとか、あとは自分の価値を提供する、自分の持ち物は何だろうというのを見て、自分の価値をきちんと理解して、USPみたいなところを設定して、その先にコミュニケーションのポイントだったり、全部どこでコケてるのかというのが、恋愛もマーケティングも同じ軸で切れるんじゃないかな、と感じているんですよね。

桐生_じゃあ、恋愛がうまい人はマーケティングもできるってことですかね?


久保_かもしれないです(笑)。でも恋愛よりマーケティングが難しいのってさっきのA to Zじゃないですが、やっぱり色々な人を相手にしないといけない。それぞれに対して最適なものを提供しないといけない。これが恋愛よりマーケティングが難しいところです。

桐生_十人十色ですからね。そのお客さんのことをつぶさに分析しながら、いろんな人のことを考えなければならない。

久保_なので、どれだけ精度高く意味のあるデータをちゃんととれるのか、それをもとにどういう示唆を出せるのか、が大事になるのかなと思います。

桐生_その通りだと思います。ありがとうございます。

 

Profile
久保裕丈 (くぼ ひろたけ)
1981 年東京都生まれ。東京大学、東京大学大学院卒。2007 年に戦略系コンサルティング会社 ATカーニー入社。2012 年にアパレルのフラッシュマーケティングサイトを運営するミューズコー株式会社を設立、2015 年にミクシィに売却。Amazon プライムビデオ作品で、1 人の独身男性を巡 って 25 人の女性が争う恋愛リアリティ番組「バチェラー・ジャパン」に出演、初代バチェラーを務める。家具・家電のレンタルサービス「CLAS(https://clas.style/)」を展開する株式会社クラス代表。

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