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マーケティング対談 「恋愛に例える顧客体験プロセス」(前編)ゲスト:株式会社クラス 代表取締役 久保裕丈様

マーケティング対談 「恋愛に例える顧客体験プロセス」(前編)ゲスト:株式会社クラス 代表取締役 久保裕丈様

2019.05.27Marketing

■Chapter_01 恋愛に例える「顧客体験プロセス」

桐生_「DATA MIXOLOGY」の桐生と申します。今日は株式会社クラス、代表の久保さんと「恋愛における顧客体験プロセス」をテーマにお話していきたいと思います。よろしくお願いします。

久保_よろしくお願いします。改めまして、クラスの代表の久保と申します。宜しくお願いします。

桐生_久保さんといえばAmazonプライムビデオの「バチェラージャパン」の初代バチェラーとして出演されていました。

久保_そうですね、だいぶ前ですけどね。もう、2年くらいまですね。

桐生_25人の女性の中から1人を短い間に選んで、最終的にプロポーズまですると。なかなか難しい番組だったと思いますが、それを振り返ってもらい、“マーケティングという視点で見ると恋愛と似ているところがあるのではないか?”と思います。
例えば、AIDMAやAISCEASなど“購買の行動プロセス”と言われるものがありますが、例えばまず初めて出会った時にどういう印象があったか。お付き合いするまでの間にプロセスがあるんじゃないか。
これがデジタルの顧客体験プロセスとなってくるとその期間がかなり短くなってきているんじゃないでしょうか。

久保_そうですね。おっしゃられたように、今まで興味もって、調べてと1個ずつのプロセスで語られてきましたよね? AIDMAもAISCEASも。それがプロセスがなくなったわけではないと思いますが、
一足飛びで処理されている時代なんじゃないかなと凄く感じています。もう1つは、今振り返ってみるとバチェラーの時って凄く短い期間の中で25人の中から最後の1人を選ばないといけなかったんですが、今実際の物とかサービスの選び方と似た頭の使い方を
していたんじゃないかなと。そこら辺も踏まえてお話できたらと思っています。

桐生_たとえば共感できるところ、感動できるところ、ここが購買プロセスの中で大事になってくるんじゃないかと。恋愛と比較してみると共感には「会話」があると思います。では、物やサービスとなった時にどんな共感や感動があるのか。久保さんはどういう考えをお持ちですか?

久保_まずそもそも恋愛の時に2人の異性がいたらどっちがいいのかな?と。比べる時に1つずつの細かな項目で比べるってことはあまりないじゃないですか? 例えばA君とB君がいて、B君の方が年収5万円高いからとか身長が3cm高いからとかで判断しないじゃないですか。

結局、最終的な結論としては“なんかいい”とか“一緒にいるときに空気感が気持ちいい”とか。それが恋愛での決め手になりますよね。それに対してサービスについて誰かが意思決定する時も
これと似ているんじゃないかな、と思います。今の時代は、選択肢が凄く多いですし調べようと思えばどこまでも比較ができたりするので、商品AとBを見比べた時にどっちの方が安いか、いくら安いなどそういう話ではなく、
なんとなくこっちの商品の方が、世界観が自分の中で共感できる、だったり。最後は“感性”的なところが勝負の決め手になってくるんじゃないかな、と思っています。

桐生_商品というのは機能的価値と情緒的価値が合わさってバランス良く、というのが購買に対して前向きになってくると言われてますよね。

久保_おっしゃる通りで、機能的価値というのは通販なんかでいえば、品数だったり配送のリードタイムだったりそういうのが機能的価値だと思うんです。それを通じて、自分の生活や感性がどう変わってくるかが情緒的価値だと思います。結構、現代においては機能的価値はほぼ満たされていてそこに大きな差分はないといいますか、
これが出発点になってしまっている。それに対してサービスなどを作る時に実はハードルが上がってきていると思っています。機能的価値というのは、当然満たされている前提で、その先の情緒的価値をどう満たしていくか。ここを考えなくてはいけないので、私自身もクラスというサービスをやっていますが、立ち上げにあたってのハードルは高いなと思っています。

桐生_本日はフリップをご用意してきたのですが、現代のデジタルマーケティングと
言われているマーケティングスタイルに、課題といいますか違和感があるように思っておりまして、
恋愛に例えると「あの人素敵だなあ」と思ったらですね、一足飛びに「付き合ってください!」ってそれは上手くいかないですよね。例えば、サイトに来た人に対して、リターゲティング広告をする。そうすると一度サイト来ただけなのに「好きです!」と言われる。

久保_さらに何度も言われますからね(笑)。ひたすらリターテリング広告が飛んでくる。

桐生_それで上手くいく人って“こういう人”なんじゃないかと思うんです。例えば、「あの人素敵だな」と思ったら途中のプロセス……共感とか感動につながるコンテンツがあると最終的に「はい!」と言ってもらえるんじゃないかと。これは久保さんがクラスで家具のサブスクリプションのサービスをされていますが、具体的にどんな風に共感や感動を提案していくと考えていますか?

久保_そうですね。今、桐生さんが出されたようなプロセスですが、恋愛だったらできますよね。恋愛って1対1ですよね。中にはプロセスを踏むのが苦手でいきなり一足飛びでガンガンいく人がいて、
とにかく自分の主張だけをやるという方もいらっしゃるかもですが、デジタルサービスの時に難しいのが恋愛に近いようなもの、つまり1対1のカスタマイゼーションを何千回、何万回と繰り返さないといけない。これを本当の意味でやりきれているところはあまりないなあと思っています。

久保_じゃあ、クラスの場合ですが、まずはお客様の観察が大切だと思っています。
きちんと観察をした上で、1人1人のお客様のインサイトをどうためていくか。“インサイト”という言葉をなぜ使っているかと言いますと、表面的にお客様を知るだけではなく、お客様自身も気づいていない欲求だったりを探る。

また、現在のニーズだけでなく、少し先のニーズまでを見越してこちらからきちんとした提案をする。これが大切だと思っています。それで、実際に何をしたいかといいますと当然ながら沢山のコンテンツを揃えなくてはなりません。その中でお客様がどういうコンテンツの組み合わせに興味を持たれているのか。それでお客様の観察とインサイトの蓄積をやろうと考えています。まあ、平たく言いますとコンテンツマーケティングみたいな話になってしまいますが、
コンテンツは単なるまとめ記事ではなくきちんとお客様の属性やインサイトを測るに足るような作り方のものを、質と量ともに貯めていき、それによってきちんとした分析をする。この2ステップがとても大切だと思っています。現在、弊社ではこれのための準備をやっています。

 

■Chapter_02 素敵な顧客体験をデジタルで作るには?

桐生_では次は「素敵な顧客体験をデジタルでどうやってお客様に提供できるか」をテーマにお話できればと思います。顧客の期待値を超え続けるのは凄く難しいことだと思うのですが、まず相手を深く知る。その方の細かい情報収集を行って、その人にとって嬉しい体験を提案していかないといけないと思っています。弊社「DATA MIXOLOGY」はメーカーやブランド企業のクライアントが中心となっておりますが、例えば現状の顧客分析を行ってポテンシャルがどこにあるのか、という仮説と検証を行って、効率性を求めていくのではなく、どちらかといえば新しい市場を作っていくのにどういうチャレンジができるのだろうか、ということをやっています。
そうすると顧客とセグメントを考えるわけですが、顧客セグメントによってアプローチの切り口だったり、例えば久保さんの場合クラスの中で、家具に対して様々な趣味趣向性の方だったり、デモグラフィックを持たれている方に提案して期待値を超えていくには
どういうチャレンジをされているかお伺いさせてください。

久保_そうですね、恋愛だったら1対1の関係なので相手をしっかり観察するのは比較的やりやすいです。苦手な人もいますけどね。それがこのウェブサービスになってくると、今の時代は1対1の恋愛でやっていたアクションを何千、何万とやっていかなくてはならない。じゃないと共感が産めなくなってきていると思うんです。それで我々がどうやってそれを実現しようとしているかといえば、大きくは2つなのかなと。1つはある程度のクラスタリングといいますか、カテゴライズをして、それぞれのカテゴリ毎にきちんとした正しいアプローチをしていく。このややマス的なアプローチが1つ。もう1つはかなり古くからあるような、何ならアナログであるような1対1の対応。このMIXなのかなと。マスアプローチというのも、
あまり乱暴にやってはいけないと思っていまして、平たく言いますと、まずはコンテンツマーケティングというのを軸にして、お客様のことを知って、お客様のインサイトを蓄積して、それぞれ毎にきちんとしたアプローチをしていくのが1つ。これは絶対やるべきかなと思っています。ただそれも、今までのようなざっくりとした切り分けではなく、ある程度のキチンとしたクラスタリングが必要なのかなと。それは今後やっていくことですが、もう1つが、うちにはCSという部隊を構えていまして、彼らはカスタマーサポートではなく、カスタマーサクセスと呼んでいるんですね。なぜかと言いますと、お客様が問い合わせをしてくださるだとか、
何なら解約のご連絡を頂く。こういう時にその場では1対1の対応をしてお客様がどんな思考を持っていらっしゃるのか。要はお客様の顧客体験の成功につながるようなアクションやニーズが何なのかというのを問う場合は、1対1でしっかり深掘りしてもらう。これをMIXしてお客様に提供していくことで、今までの一律的なマスに対するデジタルのアプローチではなかったような期待値を超える体験ができるのではないかと考えています。

桐生_デジタルマーティングというと入り口から出口まで全部デジタルと思っている方もいるかもしれません。そうではなく「デジタルの時代のマーケティング」と考えた場合、とあるタイミングではアナログな対応が凄く人の感動を呼んだり共感してもらえる、というイメージでしょうか。

久保_おっしゃる通りで、デジタルも今どんどんパワーがついてきて、AIなんかもそうですが、賢くなってきて。いわゆる細かく…MA(マーケティングオートメーション)的に自動に1対1の対応がある程度はできてきていますが、まだ十分ではないのかなと思っています。
そこをきちんとサポートしていくのがアナログ的なアプローチ。これの両方をとることで、お客様の期待値を超えていけるのではないかなと。(後編へ続く)

 

Profile
久保裕丈 くぼひろたけ
1981 年東京都生まれ。東京大学、東京大学大学院卒。2007 年に戦略系コンサルティング会社 ATカーニー入社。2012 年にアパレルのフラッシュマーケティングサイトを運営するミューズコー株式会社を設立、2015 年にミクシィに売却。Amazon プライムビデオ作品で、1 人の独身男性を巡 って 25 人の女性が争う恋愛リアリティ番組「バチェラー・ジャパン」に出演、初代バチェラーを務める。家具・家電のレンタルサービス「CLAS(https://clas.style/)」を展開する株式会社クラス代表。

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